ヒメイソギンチャク

Anthopleura asiatica (Uchida)



 体の直径が2〜3cmほどの中型種で、潮間帯付近の岩礁にすみ、多くの場合は岩の表面に比較的密な群落を作っています。これは頻繁に2分裂を繰り返し無性的に殖えるからです。従って一つの集団は元々1個体のイソギンチャクから無性的に殖えた可能性があり、その様な場合は、その集団に属する全ての個体は同じ遺伝子をもつクローン集団となります。ヒメイソギンチャクはヨロイイソギンチャクの仲間ですが、この属の種は他のクローン集団との間で闘争するので有名な仲間です。闘争に使われる武器は体壁上端に並ぶ周辺球と呼ばれる球状突起の環列です。周辺球の表面には特殊な強力な刺胞が敷き詰められています。ヒメイソギンチャクは他のヨロイイソギンチャク類と違って、周辺球の発達が悪く、あまり数多くもたないので、あまり闘争的な種ではないのかも知れません。

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