○新宮市政治倫理条例
令和3年12月16日条例第22号
新宮市政治倫理条例
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることに鑑み、その受託者たる市長、副市長、教育長(以下「市長等」という。)及び市議会議員(以下「議員」という。)が、市民全体の奉仕者として人格と倫理の向上に努め、いやしくもその権限又は地位の影響力を不正に行使して、自己又は特定の者の利益を図ることのないよう必要な措置を講ずることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等、議員及び市民の責務)
第2条 市長等及び議員は、市民全体の代表者として市民の信頼に値する倫理性を自覚し、市民に対し自ら進んでその高潔性を明らかにしなければならない。
2 市民は、主権者として市政に参加し、公共の利益を実現する責任を有することを自覚し、市長等及び議員に対し、その権限又は地位の影響力を不正に行使させるような働きかけをしてはならない。
(宣誓書の提出)
第3条 市長等及び議員は、規則で定めるところにより、この条例を遵守する旨の宣誓書を市長等にあっては市長に、議員にあっては市議会議長(以下「議長」という。)に提出しなければならない。
(政治倫理基準)
第4条 市長等及び議員は、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) その地位を利用して嫌がらせ、強制、圧力その他の人権を侵害するおそれのある行為をしないこと。
(3) 発言又は情報発信においては、公人としての自覚及び責任を持ち、特定の個人又は団体に対する誹謗中傷を行わないこと。
(4) 法令並びに市が定める条例及び規則(以下「法令等」という。)により就任する必要があるものを除き、市から補助金等の交付を受けている団体等の代表に当たる職に就任しないこと。ただし、市又は教育委員会(以下「市等」という。)が関係する団体等の代表に当たる職に市長等が就任する場合は、この限りでない。
(5) 議員は、議会審議の公正を図るため、法令等により就任する必要があるものを除き、市等が設置する委員会及び審議会等の委員に就任しないこと。
(6) 議員は、前2号に規定するもののほか、議会審議の公正を妨げると思われる団体等の職に就任しないよう努めること。
(市請負契約等に関する遵守事項)
第5条 市長等及び議員、市長等及び議員が役員をしている法人又は団体(市長等にあっては、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものの2分の1以上を出資している法人又は団体を除く。次条において同じ。)並びに市長等及び議員が実質的に経営に携わっている企業は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第92条の2、第142条、第166条及び第180条の5の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の請負契約(下請負を含む。)、業務委託契約、物品購入契約(以下「請負契約等」という。)を辞退するよう努めなければならない。
2 前項に規定する「実質的に経営に携わっている企業」とは、次の各号のいずれかに該当する企業をいう。
(1) 市長等及び議員が資本金その他これに準ずるものの3分の1以上を出資している企業
(2) 市長等及び議員がその経営方針又は主要な取引に関与している企業
3 第1項の規定により請負契約等を辞退するときは、規則で定めるところにより、請負契約等の辞退届を、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
4 議長は、議員に係る辞退届が提出されたときは、その写しを速やかに市長に送付しなければならない。
5 市長は、市長等及び議員に係る辞退届の提出状況を市報等で速やかに公表しなければならない。
(指定管理者の指定の禁止)
第6条 前条第1項に規定する法人又は団体及び同項に規定する企業は、法第244条の2第3項に規定する指定管理者となることができない。
(社会福祉法人等の役員就任に関する遵守事項)
第7条 市長等及び議員は、市から補助金等の交付を受けている社会福祉法人又は学校法人(以下「社会福祉法人等」という。)について、報酬を受領する役員に就任しないよう努めなければならない。
2 市長等及び議員は、前項に規定する社会福祉法人等について、報酬を受領しない役員に就任したときは、当該事実を証する資料を添付した届出書を、市長等にあっては市長に、議員にあっては議長に提出するものとする。
3 第5条第4項及び第5項の規定は、前項の届出について準用する。
(政治倫理審査会)
第8条 政治倫理に関する必要な事項を調査、審査するため、法第138条の4第3項の規定により、新宮市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会の委員は、7人以内とし、次の各号に掲げる者のうちから当該各号に定める人数を、公正を期するため市長と議長が協議の上、市長が委嘱する。ただし、市長等、議員及び市の職員は、除くものとする。
(1) 政治倫理の審査に関して専門的知識を有する者 2人以内
(2) 法第18条に規定する選挙権を有する市民で地方行政又は政治倫理に高い見識を持つ者 5人以内
3 審査会の委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合の補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審査会の会議は、公開とする。ただし、やむを得ず非公開とするときは、出席委員の3分の2以上の同意を必要とする。
5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も、また同様とする。
(市民の調査請求権)
第9条 市民(市長等及び議員を除く。)は、市長等又は議員が第4条から第7条までのいずれかの規定に違反する疑いがあると認められるときは、法第18条に定める有権者の総数の200分の1以上の連署をもって、市長等に係るものについては市長に対し、議員に係るものについては議長に対し、違反する疑いがあることを証する書面を添えた調査請求書を提出して、調査を請求することができる。
2 議長は、前項の規定による調査の請求があったときは、議員に係る調査請求書及び添付書面の写しを市長に送付するものとする。
3 市長は、第1項の規定による調査の請求があったとき又は前項の規定により送付を受けたときは、調査請求書及び添付書面の写しを速やかに審査会に提出し、審査を求めなければならない。
(審査会の審査等)
第10条 審査会は、前条の規定により審査を求められたときは、必要な審査を行い、当該審査を求められた日から60日以内に審査結果報告書を作成し、市長に提出しなければならない。
2 審査会は、審査を行うに当たり、関係人から事情聴取等必要な調査を行うことができる。
3 市長は、第1項の規定により提出された審査結果報告書のうち、議員に係るものについては、その写しを議長に送付しなければならない。
4 市長は、第1項の規定により提出された審査結果報告書のうち市長等に係るものの写しを、議長は、前項により送付された審査結果報告書の写しを請求代表者に送付することにより、審査の結果を通知しなければならない。
(市長等及び議員の協力義務)
第11条 市長等及び議員は、審査会の要求があるときは、審査に必要な資料を提出し、又は会議に出席して意見を述べなければならない。
2 審査会は、前項の規定に関し、市長等及び議員が虚偽の報告をしたとき、又は調査に協力しなかったときは、その旨を審査結果報告書に記載しなければならない。
(審査結果報告書の公表)
第12条 市長は、第10条第1項の規定により審査結果報告書の提出を受けたときは、速やかにその要旨を市報等で公表しなければならない。
2 市長は、前項の審査結果報告書に前条第2項に規定する記載がある場合は、その旨を併せて公表しなければならない。
(委任)
第13条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和5年5月1日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行に際し、現に第4条第4号から第6号まで及び第7条第1項に規定するいずれかの職に市長等又は議員が就任している場合は、この条例施行後1年間に限り、これらの規定は適用しない。
3 この条例の施行の日の前日までに締結された請負契約等及び法第244条の2第3項により行われた指定管理者の指定のうち、この条例施行の際引き続き継続しているものについては、その締結期間中又は指定期間中に限り、第5条及び第6条の規定は適用しない。
4 この条例の施行後、新たに市長等又は議員に就任した者が、その就任日において現に第4条第4号から第6号まで及び第7条第1項に規定するいずれかの職に就任している場合は、市長等又は議員就任後1年間に限り、これらの規定は適用しない。
5 この条例の施行後、新たに市長等又は議員に就任した者に関する請負契約等及び指定管理者の指定のうち、就任日の前日までに締結又は指定され、かつ、その就任の際引き続き継続しているものについては、その締結期間中又は指定期間中に限り、第5条及び第6条の規定は適用しない。