ヤタガラス 研究資料

熊野の自然

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紀伊・熊野固有の昆虫
和名 説明
甲虫目 オサムシ科 キイオサムシ 紀伊半島基部にすむイワワキオサムシの亜種で、熊野の森に普通に見られる。 キイオサムシ
オオダイオオナガゴミムシ 大台ヶ原から熊野に分布する大型のナガゴミムシ。水際の石の下などに見られる。 オオダイオオナガゴミムシ
センチコガネ科 ルリセンチコガネ オオセンチコガネの地方型で、紀伊半島のものは体が強い青藍色に輝くのでこの名がある。糞を転がす習性がある。 ルリセンチコガネ
コメツキムシ科 オオダイルリヒラタコメツキ 金属光沢のある緑色の美しい種。大台ヶ原から熊野にかけて見られるが少ない。県レッドデーターブックでは絶滅危惧U類。 オオダイルリヒラタコメツキ
テントウムシダマシ科 セダカテントウダマシ 紀伊半島の山地の朽ち木に生えたキノコ類に集まる。 セダカテントウダマシ
カミキリムシ科 ナンキセダカコブヤハズカミキリ セダカコブヤハズカミキリの熊野亜種。大塔山系・大雲取山系からのみ見つかっている。 ナンキセダカコブヤハズカミキリ
鱗翅目 シジミチョウ科 ナンキウラナミアカシジミ 熊野特産の亜種。基種ウラナミアカシジミがクヌギを食樹とするのに対し、本亜種はウバメガシを食樹とする。 ナンキウラナミアカシジミ

南方系の昆虫
和名 説明
甲虫目 クワガタムシ科 ルイスツノヒョウタンクワガタ 四国南端・九州南端・南西諸島から知られていたが、近年熊野の海岸林から発見された。一生を朽ち木の中で過ごす。黒潮に運ばれ移住したものと考えられる。県レッドデーターブックでは絶滅危惧種U類。 ルイスツノヒョウタンクワガタ
マメクワガタ ルイスツノヒョウタンクワガタとともに、紀伊半島沿岸を分布の北限とする。朽ち木の中で過ごすが、灯火に飛来した例もある。 マメクワガタ
鱗翅目 アゲハチョウ科 ミカドアゲハ 紀伊半島南部の神社林のオガタマノキで発生する大型のチョウで、四国高知県では天然記念物に指定されている。南西諸島が分布の中心。熊野は分布の北限になる。 ミカドアゲハ
ナガサキアゲハ 近畿地方を北限とする。近年熊野ではごく普通に見られるチョウの1種となった。 ナガサキアゲハ
タテハチョウ科 イシガケチョウ 紀伊半島を生息の北限とする。幼虫はイヌビワを食し、熊野では近年個体数が増えている。 イシガケチョウ
マダラガ科 サツマニシキ 南西諸島・九州・四国・紀伊半島・中国地方北部に生息。亜熱帯性で極彩色の美しいガ。幼虫はヤマモガシを食べる。成虫は8月から10月にかけて昼間飛ぶ。 サツマニシキ
オキナワルリチラシ 南西諸島から九州・四国・紀伊半島沿岸部に生息する美しいガ。山口県や島根県の沿岸部でも見つかっている。幼虫はツバキなどを食べる。 オキナワルリチラシ
ゴキブリ目 マダラゴキブリ科 サツマゴキブリ 九州南部以南が生息地であったが、近年熊野地方で見られるようになった、森林性のゴキブリ。成虫も飛ぶ翅が無く、古代三葉虫を思わせる。 サツマゴキブリ
半翅目 キンカメムシ科 オオキンカメムシ 熱帯アジアから日本にかけて見られる派手なカメムシ。大移動をすることで知られ、日本各地で見られるが、房総半島以西の沿岸林で越冬する。熊野でも冬季ツバキの葉などに群がって越冬するのを観察できる。 オオキンカメムシ

北方系の昆虫
和名 説明
甲虫目 コブスジコガネ科 アイヌコブスジコガネ 体長1cmほど、山地のカモシカやタヌキなど動物の死体に集まる。大塔山や大雲取山系で見つかっている。 アイヌコブスジコガネ
半翅目 キンカメムシ科 アカスジキンカメムシ ヨーロッパ・シベリアを経て日本列島に分布。メタリックグリーンに赤い筋模様と見るからに存在感があり、オサムシの色彩を思わせる。北方系でありながら、熊野の暖かい地に見られる。 アカスジキンカメムシ
カメムシ科 ツノアオカメムシ メタリックグリーンの美しい種。北方系で山地のミズナラやシラカバ、ニレなどの樹上で見られるが、熊野ではかなりの低地からも見つかっている。 ツノアオカメムシ
エゾツノカメムシ 名前の通り北方系の種。熊野では山地のミズキなどから見いだされる。 エゾツノカメムシ
蜻蛉目 サナエトンボ科 コサナエ 近畿地方では日本海側と紀伊半島東部に特異な分布を示す。休耕田の湿地などにみられ、本宮町から古座・古座川町にかけて見られる。 コサナエ
エゾトンボ科 オオエゾトンボ 北に分布の中心を持つエゾトンボの亜種。山地のため池や休耕田の湿地などで見られる。 オオエゾトンボ

深山系の昆虫
和名 説明
甲虫目 クワガタムシ科 アカアシクワガタ ブナ林やアカガシなどの照葉樹林で見られる。ヤナギの樹液に集まったり、灯火にくることも知られている。 アカアシクワガタ
ヒメオオクワガタ ブナ林で見られる。晩秋ヤナギの細枝に集まることが報告されている。 ヒメオオクワガタ
オニクワガタ ブナ林で、朽ち木や倒木上で見られる。 オニクワガタ
コガネムシ科 オオチャイロハナムグリ モミやツガ、スギなどの大木の洞の中にすむ。大木の伐採が進んでいる今日、生息地がせばめられている。県レッドデーターブックの絶滅危惧種T類。 オオチャイロハナムグリ
オオキノコムシ科 オオキノコムシ 体長2cmを超す大型種で、ブナの枯れ木や、多孔菌のキノコに見られるが少ない。県レッドデーターブックの準絶滅危惧種。 オオキノコムシ
ヒラタムシ科 ルリヒラタムシ 体が扁平で、枯れ木の樹皮下にすむ。個体数は少ない。似た種に、上翅が赤く小型のベニヒラタムシ、エゾベニヒラタムシがある。県レッドデーターブックの準絶滅危惧種。 ルリヒラタムシ
コブゴミムシダマシ科 アトコブゴミムシダマシ 山地の朽ち木につくサルノコシカケなどのキノコに見られる。特異な形をしている。 アトコブゴミムシダマシ
カミキリムシ科 ルリボシカミキリ 美しい種。ブナやカエデなどの倒木や伐採木などに集まる。 ルリボシカミキリ
ヨコヤマヒゲナガカミキリ ブナ林と切っては考えられない種。全国的にも稀種。県レッドデーターブックの絶滅危惧種U類。 ヨコヤマヒゲナガカミキリ

データ提供 熊野自然保護連絡協議会 南 敏行

参考文献
  • 保全上重要なわかやまの自然 (和歌山県) 2001
  • 虫たちの熊野 (紀伊民報社) 2000
  • 検索入門 クワガタムシ (保育社) 1988
  • 三重県その自然と動物 (三重県良書出版会) 1986
  • 自然のレッドデーターブック (三重県教育文化研究所) 1996
  • 原色日本甲虫図鑑U〜W (保育社) 1985
  • 日本産ゴキブリ類 (中山書店) 1991
  • 日本産カミキリ大図鑑 (講談社) 1984
  • 学研中高生図鑑U〜V (学習研究社) 1975
  • 決定版 生物大図鑑 昆虫T〜U 1985