熊野地方は複雑な地形と、温暖多雨な気候条件の環境にあるため、動物相・植物相ともに豊富で、特に亜熱帯、暖帯要素の生物の種類が、国内の他の地方に比べて格段に多い。
そんな中で、移動性の乏しい植物に、熊野地方特産の固有種が多いことに注目されるところで、これにはこの地域の自然環境条件が大きく作用しているものと思われる。
増水時に急激に水位が上昇する山間部の渓谷の岸辺で進化を遂げた渓流型植物。
また紀伊山地の南に在って、過去の寒冷な気候の時期に南下してきた動植物の種が、冬季にも凍結しない温暖な環境条件のもとに遺存して固有種となっているのも、この地域の生物相の大きな特徴である。