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2024年3月31日 更新 印刷用ページ印刷用ページを開く
重要文化財阿須賀神社境内(蓬莱山)出土品

■重要文化財 和歌山県阿須賀神社境内(蓬莱山)出土品

1.種別      重要文化財(考古資料)
2.名称及び員数  和歌山県阿須賀神社境内(蓬莱山)出土品 一括
3.所有者     宗教法人阿須賀神社
4.管理団体    新宮市(新宮市立歴史民俗資料館保管)
5.概要
 紀伊半島の南部、熊野川の河口右岸に位置する蓬莱山は、徐福伝説を伝える熊野信仰の聖地・神体山として崇められてきました。その麓には、熊野信仰の王子社の一つであった阿須賀神社が鎮座しています。昭和34年(1960)の伊勢湾台風で蓬莱山麓で倒木が発生し、根こそぎとなった陥没孔の周辺から御正体が発見されました。翌年に行われた発掘調査では、石組み遺構が確認され、そこから御正体等の多数の遺物が出土しました。
 御正体は、190点弱が確認されおり、阿須賀神社の祭神の本地である大威徳明王を表現した個体が多数を占め、これに薬師如来像や阿弥陀如来像など熊野三山の祭神の本地である尊像を表現した個体が加わわります。御正体の構造は、平安時代末期の平面的で素朴な形態のものから、鎌倉時代には立体的で写実的な形態のもの、室町時代の天蓋や装飾的な鐶座があるものなど多彩で、時代的な変遷をよく示しています。
 出土品には、御正体のほかに、経塚に関連する一字一石経や銅銭、神社の建築部材を含む金銅飾金具残欠などもあります。
 これらの出土品一括は、日本における鏡像から懸仏への変遷を示す良好な一括資料であり、神仏習合をもとに隆盛を極めた中世の熊野信仰のあり方を示すものとして、その学術的価値は高いと評価され、令和元年7月23日に国の重要文化財に指定されました。

出土品の画像

■保存修理事業について

 重要文化財指定品の内訳は、御正体193点、銅鏡2点、銅仏像残欠2点、銅銭7点金銅飾金具残欠9点、一字一石経136点、土師器皿残欠1点の総計350点に、附の御正体等残欠一括で構成されます。
 出土品は、出土から長い年月が経ち、経年により劣化が進行しています。特に出土品の大半を占める御正体は銅製で、全体的に銹化が進んでいます。また、亀裂等が認められ、砕片が脱落したものもあります。加えて、被熱痕跡が認められ、脆い状態のものも多く見られます。
 新宮市では、貴重な文化財を適切に保存・管理・活用するため、国庫補助金の交付を受けて、令和4年度から保存修理事業を行っています。事業は、市から専門業者に業務を委託し、対象資料の「クリーニング」「金属安定化処理」「修復」等の修理を行っています。保存修理が終了した資料は、新宮市立歴史民俗資料館で順次公開する予定です。

PDFファイルはこちら
令和4年度修理完了品
ファイルサイズ:909KB
令和5年度修理完了品
ファイルサイズ:1525KB
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掲載内容に関するお問い合わせはこちら
文化振興課
説明:文化振興、文化財、世界文化遺産、熊野学、文化複合施設など
住所:647-0011 和歌山県新宮市下本町二丁目2番1号
TEL:0735-29-7223