1.埋蔵文化財(まいぞうぶんかざい)とは?
埋蔵文化財とは、地中に埋まっている土器や石器、建物の跡等の文化財のことです。この埋蔵文化財が埋まっている場所を「埋蔵文化財包蔵地」といい、一般的に「遺跡」と呼ばれています。これらは地域の歴史や文化を現代の私たちに伝えてくれる大切な遺産です。
新宮市には、現在37か所の埋蔵文化財包蔵地(遺跡)が確認されていますが、工事などで誤って破壊されると、二度と正しい情報を得ることができず、再現もできません。そこで遺跡の範囲内で工事等を行う場合の手続きが「文化財保護法」で定められています。
2.埋蔵文化財包蔵地(遺跡)の範囲内で工事する場合は?
建物の建築、塀・擁壁の設置、土地造成などで埋蔵文化財包蔵地を掘削したり、土盛りしようとする場合には、文化財保護法第93条に基づき工事着手の「60日前」までに届出が必要です。
届出の窓口は、新宮市教育委員会文化振興課です。届出書は市から和歌山県教育委員会へ提出され、県教育委員会から取り扱いに関する指示(確認調査、工事立会、慎重工事等)が市経由で届出者に伝えられます。この間、工事等には着手できません。
◆確認調査
工事着工前に、工事予定範囲の一部を調査し埋蔵文化財の状態を確認します。確認の結果、遺跡に影響があると判断されると、届出者と新宮市教育委員会で遺跡の保存について協議を行いますので、工事内容の変更(掘削深度の変更や盛土施工への変更等)にご協力をお願いします。計画変更が不可能な場合には、本発掘調査を実施し、記録保存を行います。
◆工事立会
工事範囲が狭小な場合等は、工事による掘削作業に際して、新宮市教育委員会職員が立ち会い、埋蔵文化財の状態を確認し、状況に応じた対応をとります。
◆慎重工事
工事が遺跡に及ぼす影響がない場合と判断される場合は、立会や調査は行いませんが、遺跡内での工事であることを認識の上、慎重に工事を実施していただきます。
工事中、埋蔵文化財を発見した場合は、工事を中断し、その状態のまま速やかに新宮市教育委員会へ連絡してください。
3.埋蔵文化財包蔵地(遺跡)の範囲の確認方法は?
『和歌山県埋蔵文化財包蔵地所在地図』によって確認します。以下のいずれかの方法でご確認いただけます。
◆窓口で照会
新宮市教育委員会文化振興課文化財係
所在地:新宮市下本町2丁目2番1 新宮市文化複合施設「丹鶴ホール」2階
開庁時間:9時00分~17時15分
休業日:月曜日(祝日の場合は翌平日)、年末年始
◆メール・ファックスで照会
メール:bunka@city.shingu.lg.jp
FAX:0735-23-3370
宛先:新宮市教育委員会文化振興課文化財係
送付資料:
・工事等を予定している地番
・工事を予定している場所がわかる位置図
・連絡先(会社名、担当者名、電話番号等)
※回答に時間を要する場合があります。
※調査や協議・調整のため日数がかかかりますので、工事等の計画がある場合は、できるだけ早い時期(計画段階)に、遺跡の範囲内かどうかを確認してください。
※着工直前に範囲内であることに気がつき、手続きや調査実施のため着工が遅れる事案も発生しています。工期の都合により、保護措置を変更したり、調査期間を極端に短縮することはできません。余裕をもったスケジュールでの手続きにご協力お願いします。
4.届出書について
新宮市教育委員会文化振興課文化財係へ「2部」ご提出ください。
届出書の様式は、下段からダウンロードできます。
※届出者の押印は不要です。
●届出書のほか、必要な添付書類
・工事場所がわかる位置図
・建物等の配置図
・掘削の内容がわかる図面(基礎伏図、基礎仕様図等)
・浄化槽を埋設される場合は、その概要図
・地盤改良を実施する場合は、その概要図(改良方法、改良範囲、改良深度がわかるもの)
・その他、擁壁設置等の土地の掘削を伴う工事全ての図面
5.発掘調査の実施主体
◆確認調査
埋蔵文化財の有無や分布、密度、地表面からの深さなどを把握するために行う部分的な調査
⇒「新宮市」が実施
※大規模開発に伴う確認調査の実施には、予算確保や調査実施に時間を要しますので、開発計画の早い段階でご相談ください。
◆発掘調査(本発掘調査)
開発事業等により、埋蔵文化財が破壊を受ける場合に、記録保存のために実施する調査(現場での調査後に行う出土品の整理、調査報告書の刊行を含みます。)
⇒「開発事業者」が実施(費用負担)
※開発者自らが居住するための個人住宅を建設する場合の発掘調査は「新宮市」が実施します。ただし予算確保や調査実施に時間を要します。
(Q)なぜ開発事業者が費用を負担し発掘調査を実施するのですのか?
(A)「埋蔵文化財は、我が国の歴史を解明する上で重要な価値を有する貴重な国民共有の財産であり、可能な限り現状で保存することが望ましいものであるが、開発事業等が計画されたことによりこれを現状のまま保存することができなくなった場合、少なくとも、発掘調査によって当該埋蔵文化財の記録を保存することとし、この場合、当該埋蔵文化財の現状による保存を不可能とする原因となった開発事業者に対してその経費負担による記録保存のための調査の実施を求めることとしている」(平成10年9月29日文化庁次長通知)とされていることから、開発事業者に記録保存のための発掘調査を実施いただいています。